相続の手続

10分で分かる相続手続の全体像。突然の出来事でも円満解決するために

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ある日突然、八王子市に住むあなたの元へ、見知らぬ司法書士から手紙が届きました。

「このたび、あきる野市の〇〇さんが亡くなった。あなたは〇〇さんの法定相続人に当たる。ついては、ここにサインして実印を押し、印鑑証明書とともに送り返してほしい。ウン万円を振り込ませていただく」

千載一遇のラッキーな話なのか? それとも騙されかけているのか?

これは少し極端な例かもしれませんが、わが国の「民法」で定められた「相続」という制度によって、この類の出来事があなたの身の回りに起こらないとも限りません。なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか。

ある日突然降りかかることもある相続問題。この例ではどのように対処するのが正解なのでしょうか。サインをして返信すればそれで終わりかもしれませんが、後悔を招く可能性もあります。でも、どうしたら…。

今回は、専門の司法書士が相続についての基礎知識をお伝えします。ポイントを絞り、10分程度で理解できるよう工夫しました。ぜひ参考になさってください。

1 相続の全体像を知ろう

上記の問題に対する答えは、相続の全体像を知ることによって自ずと導かれます。難しく考えることはありません。Aに対してはBとCの選択肢がある。そこでBを選んだなら次はDとEの選択肢がある。Dを選んだなら次は…という積み重ねで理解できます。

1-1 法定相続を確認する

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、亡くなった方と近い親戚(相続人)が受け継ぐことです。近い親戚というだけでは大雑把すぎますから、親戚のうち誰が相続人となるのか、さらには各相続人がどれだけの割合で財産を引き継ぐのかについて、民法に条文が用意されています。いわば「何も足さない何も引かない」状態が法定相続です。相続の優先順位と割合は下記の通りです。

優先
順位
相続人相続する割合
1配偶者と
子供
配偶者1/2
子供1/2
2”配偶者と
親など
配偶者2/3
親など1/3
3”配偶者と
兄弟姉妹
配偶者3/4
兄弟姉妹1/4

※配偶者は常に相続人です。親は子がいない場合に相続人となり、兄弟姉妹は子も親もいない場合に相続人となります。
※子供・親・兄弟姉妹が複数いる場合には、それぞれ1/2 ・ 1/3 ・ 1/4を頭割りで相続します。

1-2 遺産の全容を把握する

相続により受け継がれる遺産(相続財産)には、不動産や銀行預金などもらって嬉しいものだけでなく、借金など欲しくないものも含まれます。

ちなみに、受取人が指定されている生命保険金は相続財産ではありませんし、受取人が被相続人自身とされている生命保険金は相続財産となります。

なお、不動産をいくらで評価するかは、特にケース・バイ・ケースですので、詳細については税理士などの専門職に相談しましょう。

1-3 欲しくない財産があるなら家庭裁判所へ

誰が相続人か、相続財産はどのくらいあるかが分かったら、その先は3つの選択肢に分かれます。

単純承認・相続放棄・限定承認です。

すべての相続財産をそのまま受け継ぐのが単純承認、すべて受け継がないのが相続放棄、もらって嬉しい財産の限度で欲しくない財産をも受け継ぐのが限定承認です。

相続放棄と限定承認は家庭裁判所での手続が必要で、期限が定められています。期限が経過すれば、自動的に単純承認したことになります。

1-4 遺産分割協議は必ず全員で

ここまでが相続財産全体についての話で、ここからが各相続人が受け継ぐ個別の相続財産の話になります。

まずは、遺産分割協議です。相続財産がすべて現金や預金だったら、分けるのも簡単でしょう。しかし、現実にはそのようなケースはほとんどありません。土地、家、車、宝石、株式、ゴルフ会員権…。法定相続の割合をベースにして、相続人の話し合いにより、皆が納得できるかたちで分け合うのが遺産分割協議です。

話し合いといっても、必ずしも相続人全員が一堂に会する必要はありません。合意があったことを証明する書面を、順番に郵送して署名押印する方法でも大丈夫です。ただし、この場合でも相続人全員の合意は絶対に必要です。

実は、この部分が冒頭の場面に当てはまるのです。

法定相続により相続人となったあなたが相続放棄をしていない以上、あなたの署名押印がなければ遺産分割協議は成立しません。

困った他の相続人の方々が、司法書士を介してあなたに手紙を送ってきたというわけです。ウン万円が高いのか安いのか、その判断はご自分でしていただかなければなりませんが…。

なお、住宅ローンなどの債務は、遺産分割協議の対象とはならず、法定相続の割合で相続人に割り振られることは、当然といえば当然でしょう。銀行など債権者の身になって考えてみてください。逆にいうと、債権者が承認するのなら、債務の遺産分割を協議書に盛り込むことも可能となります。

2 遺産の行方は被相続人が決める

そしてもう一つ、相続財産の分け方を決めるのが遺言です。相続財産の行く先は、持ち主である被相続人が決めるのが当然のことですから、遺言は法定相続に優先します。

遺言書が存在するなら、相続財産は被相続人が亡くなると同時に、遺言書の内容の通りに受け継がれます。

受け継がれる先は法定相続人に限りません。例えば、「献身的に世話をしてくれた息子の嫁に財産を残してあげたい」と考えた場合です。息子の嫁はそのままでは法定相続人になりえませんので、遺言は希望をかなえるための有効な手段なのです。

3 主な手続のタイムスケジュール

ご葬儀や四十九日法要ばかりでなく、被相続人が亡くなられた後は様々な手続を進めていかなければなりません。

ここでは主な手続についてタイムスケジュール表を作ってみました。期限が決まっているものもありますので要注意です。

3-1 死亡届の提出【7日以内】

提出先は市区町村役場です。

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右半分はドクターが記入、届出人は左半分を記入

 

3-2 遺言書の確認

自宅の権利証や実印などと一緒に保管されていることもあるでしょうし、司法書士などの第三者に託されていることもあるでしょう。

公証役場で作成した遺言(公正証書遺言)ならば、全国各地の公証役場で遺言書の検索をかけることができます(ただし昭和64年1月1日以降のもの)。

3-3 相続財産の調査・法定相続人の確認

不動産の調査には、市区町村役場が発行する名寄帳(なよせちょう)という文書が役に立ちます。

法定相続人が誰なのか調べるまでもないと思っても、必ず被相続人の誕生から死亡までの戸籍謄本一式を集めて確認しましょう。

例えば、被相続人に離婚歴があり前妻との間に子供がいたことが、戸籍を取ってみて初めて分かったというケースもあります。

また、各種の名義変更などには戸籍謄本一式が必要なので、決して無駄にはなりません。

3-4 相続放棄・限定承認【3か月以内】

いずれも期限内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で手続をしなければなりません。望むかたちにするためには、相続放棄と遺産分割の違いを知り、適切な選択をしましょう。

3-5 準確定申告【4か月以内】

相続人が被相続人に代わって行う確定申告です。被相続人に不動産所得や事業所得などがあって確定申告が必要な場合、その年の1月1日から死亡までの所得税を申告しなければなりません。申告先は被相続人の住所地の税務署です。

3-6 遺産分割協議

遺産分割協議に期限はありません。しかし、相続税の申告期限までに遺産分割協議が終わっていないと、一時的であるにせよ余分に納付することになったり、軽減措置が受けられなくなることがあります。早めの対応がおすすめです。

3-7 相続税の申告・納付【10か月以内】

相続税は、相続、遺贈(先ほどの、息子の嫁に財産を残すのが一例)、相続開始前3年以内の贈与などにより財産を取得した場合に発生する国税です。

申告先は被相続人の住所地の税務署となります。不動産、動産、現金、預金、有価証券はもちろん、生命保険金や死亡退職金なども相続財産とみなして課税されます。

ただし、相続税は相続が開始したら必ず支払うものではありません。基礎控除や様々な軽減措置を適用してもなお相続財産が一定の額を超えている場合に、申告・納付が義務付けられます。

かつては相続税が生じたのは、すべての相続のうち約4%にすぎませんでした。しかし、平成27年1月1日以降に基礎控除額を引き下げる法改正がなされてからは、相続税を負担する方は増加傾向にあります。

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相続税申告が必要な方は、実は圧倒的に少数派

3-8 各種名義変更の手続き

どのように相続財産を受け継ぐかが決まったら、不動産、預金口座、株式、車など、各種の名義変更や解約の手続を進めていきます。期限はありませんので、相続税の申告・納付より前に行うのもよいでしょう。

ちなみに、不動産の名義変更が、いわゆる相続登記のことです。相続登記は義務ではありませんので、時間と労力を考えると避けて通りたくなるかもしれません。しかし、様々な理由から相続登記の申請を強くおすすめします。

4 まとめ

相続の手続について概要と手順をお伝えしました。

遺言や相続人の把握、さらには相続税対策など、生前にできるだけ準備をしておければよいのですが、なかなか手が回らないのが実情でしょう。

手続の中には、予想以上に手間がかかるものもありますし、期限が決まっているものもあります。しかし、そのような場合も根気よく、この記事でお伝えしたステップを参考になさってください。

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