相続の手続

遺産相続問題を最初に相談すべき士業・専門家が分かる9個の事例

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法律相談会でよくあるケースです。相談役としてお待ちしているのは司法書士の村野。

「父親が亡くなりまして…。相続税はどのくらいかかるでしょうか?」

もちろん、村野は分かる範囲でお答えします。でも、司法書士と税金。明らかなミスマッチなのです。

これは極端なケースですが、似たような場面は決して少なくありません。最初に相談すべき専門家を誤ると、手間と時間を浪費します。さらに、お金を無駄にしてしまうこともあるでしょう。

・遺産分割協議をして相続したい
・相続放棄をするつもりだが…
・家業を引き継がなければならない

相続は頻繁に起きるものではありませんから、ほとんどの遺族の方は不慣れです。相続のための事前準備が不十分であったなら、迷いはさらに大きくなります。

そして、その迷いを相談できる士業・専門家には様々な種類があるので、「何が、どのように問題なのか」という入口の部分で立ち止まってしまうのです。

今回は、予想外の急な相続に直面してしまった場合、まずはどの士業・専門家に相談すべきかを、9個の事例から読み解いていきます。

1.遺産分割協議で相続する場合

例えば、夫婦と一人息子の3人で住んでいた土地と建物があるとします。ご主人が先に亡くなりましたが、遺言を残していませんでしたので、遺産の行方は相続人全員である奥さんと一人息子が話し合って決めることになります。

土地と建物を物理的に真っ二つに割ることはできませんから、「奥さんが土地を相続し、一人息子が建物を相続する」などの結論になるでしょう。これが遺産分割協議と呼ばれる相続の手続です。

ちなみに、持分2分の1ずつの「共有」として相続する方法(法定相続)もありますが、後々、土地と建物を第三者に売却したい時などに、結局は相続人全員の合意が必要になりますから、あまりおすすめはできません。

さて、遺産分割協議をすることに決めたのはいいとして、問題は、どの段階で専門家に相談する必要が生じたか、です。

1-1.遺産分割協議がまとまる見込みである

相続人同士の関係が決して悪くはなく、結論は出ていないにせよ全員で話し合いができる状態なら、ここに当てはまると考えてください。

相続税を払わなくて済むケース

遺産分割協がまとまりそうであり、かつ、相続税が発生しない場合です。この場合は司法書士です。以下の数式が一応の目安となります。

遺産の総額 < 3000万円+600万円×法定相続人の数

この数式に当てはまるなら、相続税は発生しません。

さて、遺産分割協議には、様々な方法があります。法定相続人のうちの誰かが遺産をもらうかわりに、他の相続人にその代償としての金銭を支払う方法や、遺産を第三者に売却してその代金を相続人で分け合う方法もあります。

いずれにせよ、最終的には遺産をしっかりと特定した遺産分割協議書に、実印で押印する必要があるのですが、司法書士はこの形式的な手続に熟練しています。相続人が遠方に分かれて暮らしていたり多忙であったりする場合など、司法書士なら煩わしい手続を、法律に則して代行してくれます。

行政書士もかなりこの分野に進出しているように見えますが、それには理由があります。

詳細は省きますが、司法書士や行政書士の業務範囲については、法律の解釈のしかたに委ねられる部分が存在します。そのため、一部の司法書士は、万が一のことを考えて、保険をかける意味で行政書士資格を保持し登録もしているケースがあるのです。

ちなみに、行政書士には登記申請の代理権がありませんので、登記申請の一環として遺産分割協議書を作成すること(平たくいうと、「コミコミ」というやつです)ができる司法書士と比べ、遺産分割協議書作成自体の報酬額を上げざるをえないようです。

相続税を払わなければならないケース

遺産の総額 > 3000万円+600万円×法定相続人の数 

この数式にあてはまり、相続税が発生する「可能性があるなら」、まずは税理士と打ち合わせをする方がよいでしょう。

「可能性があるなら」と書いたのは、遺産の総額を正確に割り出すのにさえ、かなり専門的な知識が要求されるからです。「税理士によって相続税の額が違う」という、悪い冗談もあるほどですので、相続に精通した税理士を探しましょう。

1-2.遺産分割協議がまとまりそうにない

遺産分割協議に断固として同意しない相続人や、協議そのものを拒否している相続人がいるなら、弁護士に相談すべきです。このような場合、代理人となって遺産分割協議をすることができる専門家は弁護士だけです。

弁護士はいわば法律のオールマイティ資格ですから、上記1-1で、最初に相談すべき専門家でもあります。ただ、他の専門家に比べて報酬額が高い傾向にありますので、その点は事前に確認しておきましょう。

どうしても遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所のお世話にならざるをえません。遺産分割に関しては、実務上、調停→審判と進むことが多いのですが、なるべく費用を抑えたいとお考えなら、調停の申立書の作成だけを司法書士に依頼するのも1つの手段ではあります。

2.遺言書に基づいて相続する場合

被相続人の遺言書が存在するなら、相続トラブルの発生率は下がります。遺産はあくまで被相続人のものですから、遺言は法定相続に優先し、相続人たちの意向に左右されなくなるからです

それでも、遺言に基づいて相続するために、いくつか手続を経なければならないケースもあります。2つのケースについて、最初はどの専門家に相談すべきなのかをお伝えします。

遺言書の作成についての詳細は、別記事「遺言書作成の必須知識6選・皆が納得円満の相続を実現させる方法とは」にて詳しくご説明しています。詳しくお知りになりたい方はご一読ください。

2-1.検認をしなければならない

検認とは、遺言書の偽造などを防ぐための手続です。民法は「遺言書の保管者や遺言書を発見した者は、相続開始を知った後は、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければならない」という意味の規定をしています。

公証役場で作成した公正証書遺言以外の遺言には検認が必要です。検認を受けないと不動産の名義変更手続(相続登記)ができませんし、金融機関は預貯金の払戻しに応じてくれません。

検認申立書は裁判所に提出する書類ですから、業務として作成ができるのは弁護士と司法書士だけです。まずは、弁護士もしくは司法書士に相談することをおすすめします。

検認

公正証書遺言以外の遺言には検認が必要

2-2.遺言執行者を選任してもらいたい

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人のことです。例えば、遺言書に子供の認知について記述があった場合、市区町村に戸籍の届出をするのが遺言執行者の仕事です。

遺言執行者がいない場合には、相続人全員が協力して動く必要があり、骨の折れる作業となります。できれば、遺言執行者は遺言の中で指定しておきたいところですが、それが叶わなかった場合、家庭裁判所に申し立てて選任してもらうこともできるのです。

未成年者と破産者を除けば誰でも遺言執行者になれますから、相続人の中から選んでもかまいません。しかし、他の相続人との利害関係に関わることが多いので、第三者に依頼するのが一般的です。

候補としては、相続に関する法律の専門家である弁護士、司法書士などがあげられます。ちなみに、遺言執行者は法人でもかまいませんので、信託銀行を遺言執行者とするケースもありますが、報酬は桁違いに高額です。

3.相続放棄をしたい場合

相続放棄とは、家庭裁判所に申述することにより、ある相続人を初めから相続人ではなかったことにする手続です。様々な事情が考えられますが、特に、借金などで遺産がマイナス状態になっている場合に用いられます。

戸籍集め(自分が相続人であることを証明するため)さえクリアすれば、さほど難しい手続ではありませんので、ご自分でなさるのも十分可能です。

強いていえば、相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から「3か月」以内にしなければならないと定められている点について、です。

例えば、Aさんが1月1日に亡くなり、現在は同年5月1日だとします。BさんはAさんの臨終の現場に居合わせましたが、自分が実はAさんの実子(相続人)であることを知ったのが同年4月1日だとしたらどうでしょう?

相続の開始からはすでに3か月が経過していますが、Bさんが自分のために相続の開始があったことを知った時からは、まだ1か月しか経っていない、とも解釈できますよね。

「3か月」をいつからカウントするかによって、まだ相続放棄ができるかもしれないなら、弁護士か司法書士に相談すべきです。

4.不動産の名義変更をしたい場合

遺産に不動産が含まれている場合、その名義変更(相続登記)はできる時にしておくことを強くおすすめいたします。公的にも私的にもトラブルを未然に防ぐことができるからです。

相続登記は大きく分けると、法定相続・遺産分割・遺言の3パターンしかないのですが、戸籍集めなど細かい部分でかなりの労力を要することもあります。

登記の専門家である司法書士に依頼してしまえば、手間を省くことができますが、まずはどの程度の手間になりそうかの見込みを立ててからにしましょう。簡単な相続登記なら、ご自分でなさるのもよいと思います

相続登記を自分ですべきか否かの判断基準は、別記事「相続登記は自分でする!司法書士による本人申請成功7つのアドバイス」にて詳しくご説明しています。詳しくお知りになりたい方はご一読ください。

 

空家

相続登記は空家問題を未然に防ぎます

5.他に相続人がいるかもしれない場合

相続手続を進めるには、遺産分割協議をするにせよ、預金解約の手続をするにせよ、法定の相続人全員を確定させる必要があります(ただし、遺言がある場合を除く)

法定相続人の確定は、被相続人をはじめとする関係者の戸籍を集めて証明することにより行います。繰り返しになりますが、戸籍集めはかなり面倒な場合もあります。労力とお金を天秤にかけたら、結局は専門家に依頼した方が得だった、という結果が出るケースも少なくありません。

弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、ほとんどの専門家は相続人調査のための戸籍収集を引受けてくれるはずですので、事案に応じて最初に相談した専門家に頼むのが自然です。戸籍は他の相続手続にも使い回しができますので、二度手間にはなりません。

費用について関心を持たれる方もいらっしゃるでしょうが、1通につき○○円、1管轄につき○○円とか、パック料金の中に含めて計上するなど事務所によって様々です。目安としては、分かりやすく、細分化して見積りを出してくれる事務所がおすすめです。

6.家業としての事業を引継ぐ場合

事業主が自社株式や事業用資産のほとんどを所有している中小企業では、相続がトラブルの元となりかねません。会社の問題と家族の問題が混ざっているので、こじれ始めると、とことんこじれてしまうのです(もちろん、多くの会社は遺言や贈与で事前に対策を練っていることと思いますが)。

相談内容は、①会社の財産を円滑に引継ぎたい ②株式の分散を防ぎたい ③相続税対策 などが多いです。①や②については弁護士や司法書士の分野です。ただし、現実的には、ほとんどの会社には顧問税理士や取引先の銀行が存在しますので、そちらが最初の窓口になっているようです。

いずれにしても、家業の承継の問題は複数の分野にまたがることに留意しておきましょう。

7.まとめ

よくある相続手続の途中で、どの専門家に相談したらよいかの優先順位をお伝えしてきました。ただし、専門家には専門家同士の横のつながりがあるものですから、過度に気を遣う必要はないことも付け加えておきます。

また最近は、数種類の士業が合同して事務所を経営する「ワンストップサービス」という言葉をよく聞きます。確かに、1か所で手続が終わる便利さはあるでしょう。しかし、専門家である前に、1人の人間として親身になって相談に乗ってくれるのか、を判断材料として相手を探すことの方が重要です。

あまり気負わずに、「初回無料相談」の掲示をしている専門家に電話してみてはいかがでしょうか。

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